福島の全ゲノム解析と突然変異研究

http://mainichi.jp/feature/news/20120901dde041040024000c.html
福島の全ゲノム解析について、このような記事がでて、専門家は疑問のコメント、とのことです。しかし、きちんと研究がデザインされていれば、貴重で重要な研究となるでしょう。(ゲノムの)研究者の中で、突然変異率自体を研究対象としてきた方々は、そんなに多くないと思います。また、よそに大型予算がつくときは、大抵なにかしら言われやすそう。別の地域の家族のトリオも、比較対象となっているといいですね。

私は提案書を読む立場にないので詳しい研究デザインは分かりませんが、おそらく一般の方々には、このようなことが分かりにくいかもしれません。

  • DNAの突然変異は、非常に低い率で、通常の細胞分裂で起こっていること。通常の世代交代でDNAの変異が継承されていること。
  • ゲノム解析というのは、決して一回だけ一通り読むのではなくて、短い断片(short read)を非常に沢山読み、ゲノム上で重ね合わせながら、データ解析すること。
  • 変異の発見と検証まで、複数のステップを踏んで慎重に行うこと。
  • 変異のコールは、最先端の統計学的手法で行われ、統計学的に評価されること。

なので、大臣の説明だけでは分からない点が残りますが、五條堀先生のブログによると、提案書と計画はしっかりしているそうです。
良い成果を期待します。